言葉は変わるのです

すゑひろがりずです。おもしろいです。「ポンっ!」という小鼓の音が心地いいです。そして彼らの一番の特徴は、話す言葉が昔の言葉ということですよね。カタカナを使わず、すべて日本語で表現する。お菓子の「カントリーマアム」と「ホームパイ」は「ふるさとの母君」「お屋敷焼き」だそうです(笑) 最高です(笑)

舞台やドラマなどを除いて、普段の日常生活で「~でござる(=~です)」「そち(=あなた)」というような表現を使う人はいないでしょう。でも確かに昔は使われていた言葉です。

「全然大丈夫」「全然その通り」というような「全然」の使い方をすると「その使い方はおかしい!『全然問題ない』のように『全然+否定語』で使われるものだ!」というようなことがよく言われます。しかし、辞書には「全然+否定語」だけでなく「全然+肯定語」のほうも載っていることを知っていますか?実際に夏目漱石、森鴎外、石川啄木など明治時代の文豪たちは「全然+肯定語」での表現を作品に使っています。当時は何の間違いもなく、正しい使い方だったのですが、これも時の流れとともに今では誤用、俗語となっています。小学校での国語の学習でも「全然+否定語」の形を教え、高校や大学入試、検定試験などでも「全然+肯定語」は不適切だとされています。明治時代では問題なかった言葉が今では不適切とされているって、日本語の変化のスピードには少し驚かされます。

このように言葉は時の流れとともに変わります。それはどの言語でも同じで、当然英語でも同じです。中学1年生で「ほんま意味わからん!」ってなりがちな「3人称単数現在形」も、英語という言語が時の流れとともに変化し続けた結果です。

日本語は主語が誰であれ、動詞がころころ形を変えることはありません。「寝る」という言葉を言うときに、主語が「僕は」「あなたは」「妹は」「その犬は」「有村架純は」「そのロボットは」などどんなものが来ても、「寝る」でOKですね。でも英語ではそうはいかない。「sleep」をそのまま使えるのは「僕は」「あなたは」だけで、あとの「妹は」「その犬は」「有村架純は」「そのロボットは」は「sleeps」になります。それは3人称単数現在形だから。ちなみに1人称とは「私、私たち=I, we」2人称は「あなた、あなたたち=you」3人称は「『私、私たち、あなた、あなたたち』以外全部」です。

am, are, is のbe動詞。I には am です。we と you には are ですし、he には is です。このように、英語は主語によって動詞の形を使い分ける言語なのです。だから一般動詞も同じで、主語によって動詞の形を使い分けるのです。

今では日本語になっているような英語の「love」ですが、古英語では「lufian」でした。そしてそれは「I lufie」「you lufast」「she lufap」のように、それぞれ主語の人称によって全て変化していたそうです。さらに「They lufiap」と複数形は複数形の形がありました。それが時の流れとともに変化し、消滅し、今では3人称単数現在形のみで古英語からの変化の名残があるわけです。3単現の s も、もしかすると数十年後にはなくなって、学校で勉強することもなくなるときがくるかもしれませんね。           【参考資料 https://www.kenkyusha.co.jp/uploads/history_of_english/series/s02.html】

言葉は変わります。新しい言葉が生まれて昔の言葉がなくなることはよくあることです。また、新しい言葉の台頭で消えていく言葉もあれば、新しい言葉から刺激を受けて昔からの言葉がさらに大切にされる、その大切さを見つめなおされることもありますしね。おもしろいですね。

昔の言葉遣いを駆使し、着物姿、小鼓を武器に笑いをとるすゑひろがりずの南條さん。そんな彼は大阪外国語大学出身です(笑)それもまたおもしろい(笑)