今週中学1年生の授業で、私は生徒たちにかなりきつく接しました。
「ここに『ing形』なんか絶対来るわけないのですが、あなたは一体何をどう考えてそう書いたのですか?根拠を教えてください。」
「先週の授業でもたくさんやって、宿題にもしっかり出したこの問題がなぜできないのですか。間違った人たちは一体何をしているのですか。」
「3月になれば今の小学6年生が中学1年生として授業を始めます。その子たちに無様に追い抜かれていきますか?情けないとか、かっこ悪いとか思いませんか?」
自分でもきついことを言っているとわかっています。
自尊心を傷つけかねない言い方をしていることもわかっています。
「結果は出なかったけど、真正面から取り組んだことが立派。」
それも大事です。
でも、そんな甘い世界ばかりではないでしょう。
結果が全ての世界もあるでしょう。
今しっかりとそのことを伝えておくべきだと強く思っています。
高校入試のためだけではありません。
将来自分になりたいものが見つかったときに、その目標を叶えるためです。
それを叶えるためには「自分の武器」を増やすことと強化することが必要です。
ある服屋さんに就職したいAさんがいるとします。
面接に行き、お店の人と話をします。
その場にはAさん以外にBさん、Cさん、Dさんがいます。
面接が始まり、面接官から自己PRをしてほしいと言われました。
A:昔からファッションに興味があり、ファッション雑誌を常にチェックしていました。この熱意はだれにも負けません!
Aさんは大きな声で自信をもって話しました。
あとの3人も続きます。
B:私は英語が得意で英検2級を取得しています。外国人のお客様も安心して楽しく買い物ができるサポートができます。
C:私はIT関係が得意です。ホームページの作成、更新、オンラインショッピングサイトの管理もできます。
D:私は洋服店でのアルバイト経験が3年間あります。接客や洋服の陳列の仕方、レジ打ちなど幅広いことをその3年間で経験しているので、今からでもすぐ働ける自信があります。
Aさんの武器は熱意。
Bさんの武器は英語力。
Cさんの武器はIT関係。
Dさんの武器は3年間の現場経験。
熱意は大事ですが、きっとそれは他の人たちも持っているのではないでしょうか。
Aさんは他の3人と比べて武器が無いのがわかりますよね。
この服屋さんでの就職にはきっと圧倒的に不利な状況でしょう。
自分の価値が高くないと、自分を選んでくれる人はほとんどいません。
性格、運動能力、芸術センス、体の大きさ、力の強さ、何もかもがその人の価値です。
そして、学力も価値のひとつです。
「絶対に歌手になる!それ以外の道はない!」のように絶対ブレない夢があるのであれば、自分の何を鍛えていけばいいかはわかりやすいですね。
しかし、まだ自分の目標や夢が決まっていないなら、勉強をして「学力」という自分の価値を上げておくべきです。
それが自分の目標、夢が見つかったときに大きな武器になります。
それだけでなく、自分で実際に経験することも自分を魅力的な存在にしてくれます。
職場体験、アルバイト、ボランティア活動などがその例ですね。
事実、「経験者大歓迎」「経験者優遇」と明示して新しく従業員を募集している会社はかなり多いです。
「大丈夫。なんとかなるよ。」
本当に何とかなる子どもにはそう伝えれればいいと思います。
でもそうでない子どもに「なんとかなるよ」と伝えるのは無責任ですし、ウソつきです。
「今の状態では高校には行けないよ。」
「このままでは次のテストは20点ぐらいしかとれないよ。」
「中学校卒業後のことは自己責任です。親でも先生でもなく、全てあなた。」
「できないものをできないままにしておくことってどうなの?」
芸人の小藪一豊が「社会は危険なジャングルや」と話していた中にもあるのですが、我々大人が自分の経験や考えをもとにして感じている社会の現実を子どもたちに教えてあげることは絶対必要です。
そしてそこで生きていくために必要なことを教えてあげないといけません。
以下は小藪一豊が話していた内容です。
「社会はジャングル。
ジャングルにはサソリもいれば毒蛇もいるし、ホテルもコンビニもない。
その危険性を知らない子どもたちはそのまま何も準備をせず、靴下とパンツだけでジャングルに飛び込んでしまう。
それで『ジャングル暑い』『ヘビとかおる』『怖い』ってなって、耐えられなくなる。
これは当たり前であり、全て大人の責任。
そんな危険な社会のジャングルに出て行く子どもたちに、大人がその危険性を説いてやらないといけない。
努力して、勉強して、社会に出て行く準備をする必要性を説いてやらないといけない。」
いつも残って居残り勉強をする生徒に加えて、「先生、自分も残って勉強する」と2人が言ってきました。
そして「来週からは自分も残って勉強する」と宣言した生徒もいます。
そうです、その意気です。
中学生は我々が思っている以上に大人です。
落ち着いて、しっかりと自分の数年先を見る力を持っています。
人生の先輩である我々大人たちがタイミングをみて声かけ、叱咤激励をしてあげることがきっと大事なのだと思います。
子どもたちと並走しながら、いっしょに未来に向かっていけたらいいなと思います。
居残りが終わって片付けをしている女子たちが
「今日の先生、ほんまに怖かった。順番に問題をあてられるのも緊張して震えとった。」
と言ってきました。
いやな思いをさせてごめんね。
先生もみんながいやな気持になっているのはわかっていましたよ。
だから自分で言いながらつらかったですよ。
でもね、みんなのことが大事だから、特別な存在だから、言わないといけないことはこれからも伝えます。
こちらが本気で伝えれば、本気で聞いてくれる子たちばかりなので。