やってみないとわからない!
数年前にテレビドラマで放送されていた「二月の勝者」
原作はマンガです。
主人公の黒木蔵人は中学受験業界で超有名なカリスマ講師。
彼がある授業で塾生たちに話しことがおもしろくて、今でもときどき思い出します。
それは「ボールをある高さから落とすとどうなるか」という話。
授業でサッカーボールを持ってきた黒木は、自分の顔の高さにそのサッカーボールを持ち、
塾生たちに「このボールから手を離すとどうなりますか?」と質問します。
塾生たちは「床に落ちる」と答えます。
「では、床にこのボールが落ちるとき、『このボールは手を離した場所と床までの半分の高さまでまず必ず落ちる。』
これは正しいですか?」
このように黒木は質問をします。
「うん、正しい。」「そりゃそうでしょう。」塾生たちは同意します。
黒木は質問を続けます。
「そして、『離した位置と床の高さの半分まで落ちてきたこのボールは、また残りの高さの半分まで落ちる。
次に、また残りの半分まで落ちる。』これは正しいですか?」
成績トップの塾生が『落ちるときにはそうなるでしょう、絶対に。』と答えます。
すると、黒木はこう問いかけます。
「でも考えてみてください。
ある高さから落ちるボールは『半分落ちる』を繰り返していきます。
でもこれを繰り返していると、いつまでたってもボールは床に到着できない、
つまり、『ボールが床に着くことは不可能だ』ということになりませんか?」
成績トップの生徒も含め、塾生たちはその問いかけに答えることができません。
黒木は淡々と、静かなトーンで話を続けます。
「でも、実際はどうでしょうか。」
黒木はそのサッカーボールを顔の高さから落とします。
黒木の手から離れたボールは床に着いて、勢いよく跳ね上がります。
そして、黒木は塾生に伝えます。
「ボールは床に着きました。
頭では不可能だと思っていることも、やってみないとわからない、可能なこともあるのです。」
おもしろい展開だと思いませんか?
「やってみないとわからない」
無表情で、感情の起伏もなく、冷徹さすら感じさせる黒木という塾講師から、
そのような前向きな言葉が子どもたちに伝えられたことが印象的でした。
教授法も大事ですが、子どもたちへの関わり方や声かけも大事ですね。
結局のところ、やる気スイッチが子どもに入れば、どんどん力は伸びていくのですから。
ドラマの黒木のようなかっこいいことは言えませんが、子どもたちを刺激できるようなことができたらいいなと思います。
そのためには自分がいろいろな経験をしないといけませんね。
いくつになっても何かに挑戦して、時には大失敗して、それを糧にまた頑張って、のようなもの。
自分の仕事に関わることでなくてもいいと思うのです。
そう言えば、「いつか神戸マラソンに参加したい!」と意気込んで始めたマラソンですが、最近やってないな。
暑さも和らいでくるでしょうし、また秋から挑戦しようと思います!
ちなみに、黒木が例として出したボールの話ですが、
一見これは「ボールが落ちるか落ちないか」を論ずるパラドックスのようではありますが、
専門家の方々曰く、「ボールが床に着くまでの過程」を説明しているものであり、
床に着く、着かないを論ずるというものではないそうです。
難しいですね~。