ヘボン式ローマ字

みなさんこんにちは!

小学校5年生から教科になった英語。5年生の教科書を見てみると、すぐにローマ字が載っています。「ヘボン式ローマ字」です。お父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃん、いや、現役バリバリの学生のみなさん、ヘボン式ローマ字は完璧ですか?これが結構難しいのです。今は小学校3年生で「訓令式ローマ字」を学習するので、それとごちゃごちゃになってしまう人がとても多い。訓令式は日本語の発音をローマ字で表したものです。一方、ヘボン式はヘボンさん(人の名前です)が考えた、英語の発音としての表記です。次のひらがなをヘボン式ローマ字で書いてみてください。「し」「ち」「つ」「ふ」です。

答え合わせをしましょう。「shi」「chi」「tsu」「fu」です。訓令式ローマ字では「si」「ti」「tu」「hu」です。訓令式のほうが圧倒的に簡単で、パターンも同じで、日本人には使いやすいのですが、英語ではヘボン式ローマ字が採用されています。理由は上に書いたように、英語の発音として表してあるためです。「し」を「si」と書くと、英語では「すぃ」のような音になります。同じように「ti」は「てぃ」、「tu」は「とぅ」のようになります。これは「s」「t」の音がそうだから。Phonicsで学習した人も多いはず。

しかしながら、「ふ」が「fu」なのが謎ですよね?これはなかなかおもしろいと個人的には思うのですが、日本人が何気なく発音している「ふ」の音は、かなり特殊なのです。「両唇摩擦音」と言って、上の唇と下の唇をくっつけて、摩擦を起こすように出す音なのです。試しに「富士山の麓(ふもと)」と言ってみてください。上下の唇の両側がくっついて、少し開いた中央の唇の隙間から息を前に吹き抜くような音が出ると思います。この発音方法は英語にはありません。

困ったヘボン式ローマ字創始者のヘボンさん。しかし日本人の「ふ」をよく聞いていると、英語にも唇の摩擦を使って発するものがあり、日本語の「ふ」が英語のそれと似ていることに気付きました。それが「f」の音。上の前歯を下唇に軽くあてて、そこから息を吹いて出す摩擦音。「唇歯摩擦音」と言います。この「f」に「u」をつけた音が日本語の「ふ」に最も近い音のため、「ha, hi, fu, he, ho」となっています。

日本語でカタカナになっていて、日常的に使うフック。いろいろ掛けられるあの便利なフック。ピーターパンのフック船長のフック。あれは英語では「hook」と書きます。ボクシングのフックも同じで、左フックは「left hook」です。ではこの「hook」の発音はどうなのでしょうか?先ほどのヘボンさんの苦悩と同じですが、日本語の発音には無い「ふ」の音なのです。上下の唇を意識して離し、口が軽く前に突き出るように出す音です。人によっては「ほ」に近い音になることもよくあるため、日本語でも「ホック」と言われることもありますよね。男子学生服のホックとか。

ヘボン式ローマ字で他にもミスをしやすいのが「しゃしゅしょ」「ちゃちゅちょ」「じゃじゅじょ」「じ」「ぢ」です。いかがですか?ヘボン式では「sha, shu, sho」「cha, chu, cho」「ja, ju, jo」であり、「sya, syu, syo」のように間に「y」が入ることはありません。「tya, tyu, tyo」のようにタ行だからと「t」を使うこともありません。「sh」「ch」「j」の発音がその理由です。「じ」「ぢ」はどちらも「zi」です。どちらも発音が全く同じです。だから分けずに「zi」です。「di」は「でぃ」の音になるので気を付けてください。

書類で名前をローマ字で書くときは、基本的にヘボン式です。意外と使うことが多いヘボン式。必ずマスターしましょう。

謎多きヘボン式ローマ字だったかもしれませんが、こうやってパソコンのキーボードを叩いている自分の指が常に訓令式なのが一番の謎ですwww