過去形のイメージ

played, showed, watched … 動詞に ed をつける。

liked, lived, hoped … e で終わっている動詞には d をつける。

studied, cried, carried … y を i にかえて ed をつける。

went, bought, wrote … ed や d ではなく、形が変わる。

stopped, skipped, dropped … p を重ねて ed をつける。

cut, put, read … 現在形とかわらない。(readに関しては発音はかわる)


過去形は中学1年生で学習する内容です。当然「~した。」ですが、英語の世界において、過去形は過去を表すだけでなく、もっと違う場面でも登場します。今回はその2つを紹介します。


①丁寧な表現

Can you help me? (手伝ってもらえる?) / Could you help me?(手伝っていただけますか?)

Will you open the window?(窓を開けてくれる?)/ Would you open the window?(窓を開けていただけますか?)

②仮定法

If I had wings, I would fly to school.(もし私に翼があれば、飛んで学校に行くだろうな。)

I wish you could come to my birthday party.(あなたが私の誕生日パーティーに来れたらいいのにな。)

 

上の①②にある下線部はどれも過去形です。could は can の過去形、 would は will の過去形、had は have の過去形。それなのに意味は全く過去ではありません。ここに英語の過去形の便利さがあるわけです。

過去形のイメージは「距離を取る」です。I played soccer yesterday.(私は昨日サッカーをしました。)という文章は、「今」から見て「昨日」という時間的な距離を取っています。

①丁寧な表現での距離というのは、「人と人の距離」です。丁寧な言葉遣いや敬語が必要な場面というのは、会話をしている人同士の間に友達や家族のような親しい関係ではなくて、もう少し距離があるときですよね。また、普段は気さくに話をし合う関係でも、ビジネスシーンなどではちゃんとけじめをつけて、適切な距離を取るということも大切です。過去形にすることでその適切な距離が取れ、丁寧さや相手への敬意が伝わるのです。

②の仮定法。ここでの距離は「現実と非現実の距離」です。仮定法は空想や妄想の世界です。実際には起こる可能性が0であったり、絶対とは言わなくても限りなく0に近いことを伝える方法です。現実とかけ離れた距離にある話をしているので、それを表すために過去形が使われているのです。

今年度から英語教育の大改革が本格始動し、中学3年生で仮定法が登場します。「過去形は距離を取る」ということを知っているだけで仮定法について学習するときに大きな手助けとなるでしょう。

英語はコミュニケーションの道具なので、使うことに意味があるし、「習うより慣れろ」の精神も時には有効でしょう。でも、せっかく中学校では「英会話」「外国語活動」ではなく「英語」の授業を受けているのだから、文法や言語学的なことも学んでいく機会も充実したらいいなと思います。「へぇ~そうなんや」って思うことがあればあるほど理解につながりますし、知識も増えて面白くなってきますよ。

そろそろどこの中学校でも3年生は仮定法を学習しだす頃です。過去形を使ってあるのは現実世界と妄想世界との距離を取るため。そのイメージを大切にして取り組んでください!ファイトです!