精読

「精読」という言葉を聞いたことがある人は少ないのではないかと思います。速く文章を読んでいく「速読」や、たくさんの文章に触れていく「多読」など、読む方法にはいくつかの種類がありますが、精読とはじっくり読んでいくことです。今回は精読について紹介します。

長文読解が苦手だという人は多いと思います。長文に限らず、英文の内容を読み取ることが苦手だという人には明らかな原因があります。単語力・熟語力が不足しているという人もいるかもしれませんが、長文が苦手な人は、文法が苦手です。だから意味の切れ間もわかりません。

①「文法がわからない」 He wants to get the book which was written by Marukosu. この文章の単語は一通りわかるのに、意味が分からないという人は明らかに文法力が問題です。これには大きく分けて3つの大きな文法事項が入っています。まず「wants to get」です。これは中学2年生で学習する「to不定詞の名詞的用法」です。「動詞のあとに to+動詞の原形が来ると「~することが〇〇だ」というように動詞が名詞の役割に変わる」というもの。そして次に「the book which was ~」です。中学3年生で学習する「主格の関係代名詞」です。先行詞のthe bookをwhich以降の文章で説明する用法です。このwhichは疑問詞ではなく、関係代名詞であり、「どちら、どの」というような意味はありません。そして3つ目は「was written by~」です。これも中学3年生で学習する「受動態・受け身」です。be動詞+過去分詞で「~される」という意味になります。byがよく使われ、今回は「マルコスによって書かれた」という意味です。ちなみにマルコスという女性の釣りYoutuberを知っていますか?私は釣りのYoutubeをよく見るのですが、マルコスの釣り動画が楽しくてよく見ています。彼女が本を出版するらしく、予約が開始されています。ほしいなぁと思い、英文にしてみました。

②「文の切れ目がわからない。」 これを言われてもピンとこない人が多いかもしれませんが、上のマルコスの英文ですが、英語が得意だという人に文の切れ目にスラッシュ「/」を入れてくださいとお願いすると、おそらく1か所、もしくは2か所に/を入れると思います。 He wants to get the book / which was written / by Marukosu. こんな感じかと思います。もちろんその他の場所に/を入れる人もいれば、これぐらいの長さの文章なら/はいらないという人もいるでしょう。この/は意味の切れ目です。

①②は長文を読んでいくためには必要不可欠な力です。しかし、なかなかすぐには身につくものではありません。だからこそ「長文読んでもわからん!」ってなりがち。そこでタイトルにもある精読の時間です。じっくりじっくり、じーーーーっくり文章を確認していきましょう。辞書や教科書、スマホなど調べられるものがいります。

「He」だから主語は「彼は」ですね。「wants」となっているのは3人称単数現在形ですね。辞書を引けば「want」のところに「want + to do ~したい」が載っています。つまり「彼は手に入れたい」という意味の文章。このあとには「何を手に入れたいのか」が出てくるはずです。「the book」です。本は1冊ですね。「a book」ではなく「the book」になっているから、「その本」という感じで、もうマルコスの本の話題が出ているのでしょうかね。次のこのwhichはなんでしょう。そもそもこの文章は「?」がついていないから、疑問文じゃないですね。つまり「どれ?」「どっち?」という文章ではないということ。ではこれは何だろう。教科書のどこかに載っているはず。どれどれ…

このようにじっくり時間をかけてでもひとつひとつわからないところを見ていくことを精読と言います。長文が苦手で焦っている人は、次から次に新しい文章に手を出しがちです。それは逆効果だとよく言われます。すらすら読めてしまう文章はいいですが、難しいと思う文章はじっくり精読することが長文を読む力の育成になります。精読をしていくことで意味の切れ目であるスラッシュの位置も自然とわかるようになります。

長文が苦手な人は、まずは単語力と熟語力の強化です。同時進行で文法力の強化です。文法力は骨であり、単語力は肉である。両方あってこその英語力です。それを地道に強化して、英文を精読していきましょう。教科書の英文は精読するのにもってこいです。たくさんの仕掛けもあって、さすが国が許可しただけの教科書だと思います。じっくり読んで長文力をつけましょう。