お彼岸

秋分の日の前後3日を含んだ7日間が秋のお彼岸の時期。その秋分の日は明日です。そう、今は秋のお彼岸の時期です。

「国民の祝日に関する法律」というのがありまして、それを見ると秋分の日は「祖先をうやまい、なくなつた人々をしのぶ」と記されています。だからこの秋のお彼岸ではお墓参りをしたり、仏壇や仏具の掃除をしたりするわけですね。私自身、最近お墓参りには行けていません。今年は行こうかなと思っています。

日中はまだ暑いですが、とは言っても湿度がなく、家の中よりも外の方が涼しいのではないかと思うような気候になりました。散歩をしていてもとても気持ちがいいです。上の写真は、今日の午前中に散歩をした時に撮ったものです。緑の稲と赤い花、そして青い空。とてもきれいです。

この赤い花は「彼岸花」です。和名が彼岸花、学名がリコリス、日本での別名は曼珠沙華(まんじゅしゃげ)です。ちょうどこの秋のお彼岸の時期に咲く花で、1日10センチほど伸びるとも言われ、咲き始めると一気に咲きます。特に乾燥した日が続いた後にしっかり雨が降ると、一斉に咲きだすという特徴もあるようです。

きれいな花なのですが、あまり良いイメージがないという方が多いのではないでしょうか。私も同じです。小さなころに「彼岸花を家に持って帰ってくると、家が火事になる」と聞いたことがあります。

調べてみると、出るわ出るわ不吉な呼び名。地獄花、幽霊花、捨子花、毒花、死人花…。なぜこうもイメージが悪いのでしょうか。

不気味なイメージがついてしまったひとつに、この花の生育特徴があります。彼岸花の葉っぱって見たことがありますか?私はありません。調べてみると、彼岸花の葉は「花が咲いてから伸びる」という通常の花とは逆の成長の仕方をするのです。花が咲いている9月ごろ、葉は地中の球根にあり、花が枯れ、茎が枯れてから緑の葉を伸ばし始め、地上に出てきます。冬になって周囲の草花は枯れてしまっても、彼岸花の葉は地上ですくすくと成長をしながら光合成を続け、球根内に養分をため込みます。そして周囲の草花が葉を出すぽかぽか陽気の春になると彼岸花は葉を枯らし、夏には休眠期に入ります。そして秋のこの時期に一気に茎をのばして花を咲かせるのです。

この成長の仕方が昔の人は「葉がないのに花が咲くのが不気味だ」「葉見ず花見ず」と恐れたと言われています。またその見た目が炎に似ていることや球根に毒があることなどから、不吉なイメージを持たれてしまったと考えられています。この毒は強いので決して食べたりしてはいけませんが、昔は湿布薬として使用されていたという記録もありますので、一概に恐ろしいものだということではなさそうです。

また、曼珠沙華という別名で呼ばれることがありますが、「まんじゅしゃげ」とはサンスクリット語で「天界に咲く花」という意味だそうです。「めでたいこと、うれしいことが起こる。その前兆として赤い花が天界から降りてくる。」という仏教の経典から来ているそうです。

赤色の彼岸花の花言葉は「情熱」、「独立」、「再開」、「あきらめ」、「悲しき思い出」などがあります。悪いイメージのものばかりではありません。しかし、不吉なイメージがついているので、贈り物などに使われることはほとんどないようです。

こんな感じの彼岸花です。人それぞれ感じ方に違いはあるでしょうが、なにはともあれ、一生懸命咲いている姿は美しいなと私は感じます。彼岸花に限りませんが、草花は摘んで帰って家で花瓶に入れて飾るのもきれいですが、自然の中で他の植物や風景に混じって咲いているからこそきれいだと感じることもあります。今朝の散歩でそんな風景に出会え、心が癒されました。

今年の冬は他の草花は枯れてしまっている中、すくすくと地中から伸びる彼岸花の緑の葉を見ることが楽しみです。